え~ 京ジュラク壁ってなに そんなのまだあるの?

2016.06.04

このたび、最近ではあまり施工しなくなった京ジュラク壁の補修をしました。
それは昨年からの継続のリフォーム工事の最終仕上げとしてのものです。

①春先暖かくなってから外壁張替工事をしましょう
②外壁をガンガン叩いた後、内装壁塗りをしましょう

つまり、仕上げに影響しないようにガタガタを先にして、塗り壁をしようということ。

それにしても今どき塗り壁?とお思いになる方もおいでかと…

ジュラク壁とは砂壁の一部分を示す内装仕上げ方法です。
本来は木舞(こまい)と言って、柱と柱をつなぐ貫と竹または葦を縄で編んだものを芯として、絶妙な配合で調整した土を何度か塗り重ね、数時間乾燥した後これを下地とし、そこに砂壁を最終的に塗り仕上げる工法です。通常その仕上げは2ミリ程度の厚みです。

実は新潟県中越地震発生以降「壁がボロボロ落ちる」とか「ついた汚れ、シミが取れない」とか、厄介者の仕上げ方法と毛嫌いされていました。
でも本当は、もっと素晴らしい特長があります。

それは
①室内空間の調湿作用
②和室という独特の癒し、つまりは「わびさび」に通じるおもむき
などです。
そんな特長があるゆえに、少しでも傷やムラが入ると全て塗り直さなければならないというシビアさもあります。
ジュラク壁を塗る時は、“息を呑んで仕事をする”という感じですよね。

時代劇に映る茶室は、その時代々々の政権を左右する会合の場所として、その状況を微妙に演出しております。
そんなさりげない表現者としてのジュラク壁。
僕は大好きです。
もっとこのようなおもむきを求める仕事ができたらと常々考えております。
ですが今の時代、その大事な舞台である和室がないことが多くなりました。残念ですね。
畳部屋でない本当の和室に見合ったジュラク壁を再認知してみてはいかがですか。

清水